当院の手術設備は至って普通です。
特別な手術ができるわけでもありません。
ですが高齢動物の手術は頑張っているつもりです。

※過去のブログ
高齢だからって手術をあきらめないで!
高齢犬に対する手術の考え方



今回は高齢動物で何らかの苦痛(痛み、食欲低下・食べられない)を伴っていて、手術が解決策になる症例です。
手術リスクは高いけれど、苦痛から解放できればQOL(生活の質)が向上して余生を楽に過ごせるようになります。

高齢=何もできない、
ではないと知っていただきたくて記事を書きました。


※全ての症例で手術できるわけではありません。
※腫瘍の写真が出てきます。苦手な方はご遠慮ください。
大丈夫な方は下へ進んでください。

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症例① 11才 腹部の腫瘍
ハナ
  左:手術前 ・ 右:術後 1.5ヵ月


下腹部に大きな腫瘍があり自潰していました。

重度の貧血があったため輸血を行ってから手術しました。
翌日から食欲旺盛。楽になったのか2週間の入院で体重が1kg増えて退院。
腫瘍が無くなったことで栄養状態が改善し、右の写真の時はさらに1kg増えていました。
(毛づやと肉付きがずいぶん違いますが同じワンちゃんです(⌒∇⌒))


症例② 14才 腹部の腫瘍(自潰)
ふー
     左:手術時         右:抜糸時(3週間後)

腹部に複数の腫瘍があり一つが自潰していました。
術前検査で肺に転移が見つかりましたがまだ小さいため麻酔は可能と判断。
QOL向上を目的に手術を実施。
来院3日前から元気・食欲がなくなっていましたが手術翌日から食べてくれました。


症例③ 12才 眼球の炎症
12才
白内障からブドウ膜炎(眼内の炎症)に移行したが点眼ではコントロールできなくなった症例です。すでに視覚は無く激しい痛みと出血を伴っていたため眼球摘出を実施しました。
翌日から食欲旺盛。
目の痛みが無くなったので顔を触っても嫌がらなくなったと喜んでいただけました。


症例④ 15才 腹部の腫瘍(自潰)
15歳pre1
腹部に大きな腫瘍があり自潰していました。
すでに肺転移があり心臓にも問題が見つかりましたが内科治療は困難と判断し手術しました。
ふらつきながらも翌日から食べてくれて、3週間後の抜糸の際には体重が2kg増えてくれました。散歩も元気に行けるようになりました。
残念ながら手術から約4か月後に亡くなってしまいましたが直前まで食べて楽に過ごしてくれたそうです。

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ブログをご覧になった方から時々、相談をいただきます。
先日もある方から電話をいただきました。
お腹の腫瘍が大きくなり地面に当たりそう。
自壊して出血するのが怖いし、本人(犬)が苦しい思いをしてしまう。
でも超高齢のため手術のリスクが高くてできるのかどうか・・・。
藁にも縋る思いでかけてこられたのが受話器越しに分かりました。

ただかなり遠方の方のため診察させていただくことが容易ではありませんでした。
お答えできる範囲で治療法(外科・内科)と2次病院をご説明し、かかりつけの先生へ相談いただくことになりました。
一般的な話しかできていませんし診察できてもないので私としてはあまりお役に立てていないのですが、飼い主さんからは感謝いただけました。困ったときは相談できるところが必要ですよね。

この記事が皆さんのお役に立つとうれしいです。